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はじめに
機密情報の紛失や外出先での置き忘れ、メール誤送信等、企業の情報資産に関するトラブルは、信用やイメージに大きな影響を与えます。
特に、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクは増加しており、情報保護の強化が求められています。そこで、個人情報保護のセキュリティ認証「プライバシーマーク(Pマーク)」を取得することで、取引先や顧客に安心感を提供し、企業の信頼性を高めることが可能です。
こちらの記事では、プライバシーマークの概要やメリット、取得方法について詳しく解説します。
プライバシーマーク(Pマーク)とは?
プライバシーマーク(Pマーク)とは、企業や組織の個人情報保護のための体制や運用が適切であることを認証するマークです。これは、第三者機関である「一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)」によって審査され、基準をクリアした企業にのみプライバシーマーク(Pマーク)の使用が認められます。
プライバシーマーク(Pマーク)付与の対象
プライバシーマーク(Pマーク)付与の対象は国内に活動拠点のある事業者で、法人単位で取得可能です。
申請要件
プライバシーマーク(Pマーク)を申請するためには、日本産業規格「JIS Q 15001」(個人情報保護マネジメントシステム-要求事項)に準拠した適切な個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を構築・運用していることが必要です。
管理の原則としては、個人情報を適切に取り扱うために個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の考え方を取り入れて、社内で「Plan(計画)」「Do(実施)」「Check(点検)」「Act(改善)」のPDCAサイクルを実践することが求められます。
プライバシーマーク(Pマーク)を取得する必要性
プライバシーマーク(Pマーク)を取得する必要性について解説します。
デジタル技術の進展によるセキュリティリスクの増大
近年、デジタル技術の進化に伴い、企業はITツールやデジタルテクノロジーを活用して業務の自動化やクラウド化を進め、効率性と生産性を向上させています。しかし、その一方で高度な情報化により、セキュリティリスクも増大しています。このような状況を背景に、顧客や取引先からの信頼を高める手段として、プライバシーマーク(Pマーク)を取得する企業が増加しています。
個人情報保護への意識の高まり
外部からの不正アクセスなどによる大規模な情報漏えい(漏洩)事件や個人情報が含まれる書類やPCを紛失する事件が頻繁に発生するなど、企業の個人情報の取り扱いが問題になったことで、個人情報保護の意識が高まりました。
これらの事件などを受けて、プライバシーマーク(Pマーク)を取得し、企業のWebサイトや店頭、名刺、封筒・便箋などに記載することで、取引先や顧客からの信頼を得るための重要なツールとして活用する企業も増えています。
情報漏えい(漏洩)時のリスク
外部からの不正アクセスや内部による紛失など、情報漏えい(漏洩)が起こった場合、主に以下のリスクが考えられます。
- 社会的信用の失墜(顧客離れや取引先からの取引停止)
- 取引先や顧客の信頼回復のための経済的損失(原因を特定するための費用、賠償金など)
- 事業を継続する上での大きなダメージ(顧客離れや取引停止などによる業務停止など)
一度失った信頼を回復するのは容易ではありません。信頼回復のための対策が遅くなれば、回復までの時間とコストがかかるため、事前の対策と早期発見・早期対応が必要です。
プライバシーマーク(Pマーク)を取得するメリット
プライバシーマーク(Pマーク)を取得することで、「個人情報保護の基準をクリアしている」という客観的な第三者の評価が得られるため、企業には多くのメリットが期待できます。それでは、その具体的なメリットを見てみましょう。
内部的なメリット | ・事故の予防・抑制ができる ・事故を早期に発見できる ・ 事故後の対応手順を明確化できる |
対外的なメリット | ・顧客や取引先からの信頼が高まる ・プライバシーマーク(Pマーク)の取得が取引条件になっている場合など、ビジネスチャンスが広がる |
以下でさらに詳しく解説していきましょう。
内部的なメリット
プライバシーマーク(Pマーク)を取得する内部的なメリットは、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を整備して、実施、定期的な点検、改善を行うことで、社内の個人情報保護体制を強化できることです。
事故の予防・抑制ができる
個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を運用していれば、事故の発生要因を予測してリスクに対しての対策を速やかに行うことができるので、事故の予防や個人情報保護体制の強化につながります。
事故を早期に発見できる
万が一、情報漏えい(漏洩)など事故が起きた場合でも、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)による定期点検や事故対応の仕組み化などを通じて事故の早期発見が可能になり、事故が発生した際の被害を最小限に抑えることが可能です。
事故後の対応手順を明確化できる
個人情報保護マネジメントシステム(PMS)で事前にトラブルの対応策を定めておくことで、万が一、情報漏えい(漏洩)など事故が起きた際に、被害を受けた取引先や顧客への対応、事故への対応など迅速に対処できます。的確な対応で復旧にかかる時間を短縮することは被害を最小化するためにも重要なことです。
外部的なメリット
プライバシーマーク(Pマーク)を取得すれば、厳重な個人情報保護体制の実施を取引先や顧客にアピールしたり、ビジネスの拡大につながります。
取引先からの信頼が高まる
プライバシーマーク(Pマーク)の取得により、個人情報の取り扱いについて取引先や顧客に信頼感を与えられます。
ビジネスチャンスが広がる
プライバシーマーク(Pマーク)を取得していることが、取引や官公庁における入札の必須条件になっている場合があります。そのためプライバシーマーク(Pマーク)を取得することでビジネスチャンスが広がる場合があります。
プライバシーマーク(Pマーク)を取得するデメリット
プライバシーマーク(Pマーク)の取得には以下のデメリットもあります。
取得や継続のための費用がかかる
プライバシーマーク(Pマーク)を取得し、継続して認定されるためには、申請費用、審査費用、付与登録費用などの諸費用がかかります。
また、プライバシーマーク(Pマーク)の取得や更新にかかる費用は、企業の事業規模によって異なります。
社内にプライバシーマーク(Pマーク)の知識がある人や取得経験者がいない場合、専門のコンサルティング企業のサポートを受ける企業もいます。その際には、コンサルティング費用も必要になります。
都度の内部監査や社内教育が必要
プライバシーマーク(Pマーク)の取得後は、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の運用・記録を業務に組み込まなければならないため、従業員の業務負担が増えます。また、プライバシーマーク(Pマーク)の有効期限は2年間なので、2年に1度の更新が必要になります。 また、少なくとも1年に1度の内部監査や従業員教育も行わなければなりません。これらを忙しい業務の合間に実施するため、通常業務を圧迫する可能性があります。
プライバシーマーク(Pマーク)を取得するまでの流れ
取引先や顧客に個人情報の取り扱いについてアピールできるプライバシーマーク(Pマーク)制度ですが、取得方法が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで、プライバシーマーク(Pマーク)を取得するまでの流れについて解説します。
ステップ1 | 個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の構築・運用 |
ステップ2 | プライバシーマーク(Pマーク)付与適格性審査の申請書を送付 |
ステップ3 | 書類審査、現地審査の実施 |
ステップ4 | 指摘事項への対応、改善報告 |
ステップ5 | 合否の通知、プライバシーマーク(Pマーク)の取得 |
ステップ1:個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の構築・運用
まず、社内で個人情報を適切に扱う体制を整える必要があります。 具体的には、「JIS Q 15001」(個人情報保護マネジメントシステム-要求事項)に基づいた個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を定め、実施可能な体制を整備した上で、PDCAサイクルを1回以上実施する必要があります。
ステップ2:プライバシーマーク(Pマーク)付与適格性審査の申請書を送付
運用体制が整ったら、以下の書類を用意してプライバシーマーク(Pマーク)付与適格性審査の申請書を送付します。
- 【申請様式1新規】プライバシーマーク(Pマーク)付与適格性審査申請書(代表者印の捺印が必須)
- 【申請様式2新規】個人情報保護体制
- 【申請様式3新規】事業者概要
- 【申請様式4新規】個人情報を取り扱う業務の概要
- 【申請様式5新規】すべての事業所の所在地及び業務内容
- 【申請様式6新規】個人情報保護マネジメントシステム文書の一覧
- 【申請様式7新規】教育実施サマリー(全ての従業員への教育の実施状況)
- 【申請様式8新規】内部監査・マネジメントレビュー実施サマリー
- ・登記事項証明書(「履歴事項全部証明書」または「現在事項全部証明書」など申請事業者(法人)の実在を証す公的文書の原本(申請日前3カ月以内の発行文書であり写していないもの)
- 定款の写し
- 最新の個人情報保護マネジメントシステム文書一式の写し
- 個人情報を特定した台帳、いわゆる「個人情報管理台帳」の運用記録の冒頭1ページの写し
- 上記の個人情報を特定した台帳に対応する、いわゆる「リスク分析結果」の写し
そのほかにも、現地審査当日に求められる任意の書類もあるため、くわしくは一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のWebサイトをご覧ください。 また、申請書類の提出先は、業種、あるいは本社の所在地によって異なる(※2)ため、こちらも詳しくは一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のWebサイトをご覧ください。
※1 出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「Pマーク申請・報告書類」
※2 出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「申請先」
ステップ3:書類審査、現地審査の実施
申請後、提出した書類の審査員による審査が行われます(書類審査)。書類審査に合格したら、審査機関が実際に現地に出向いての現地審査が行われ、「JIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム-要求事項)」に基づいた個人情報の保護体制が整備・運用されているかチェックされます。
ステップ4:指摘事項への対応、改善を報告
各審査で指摘された事項についての改善報告書を改善の証拠を添えて3カ月以内に提出します。
ステップ5:合否の通知、プライバシーマーク(Pマーク)の取得
合否は郵送で行われます。合格した場合は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と「プライバシーマーク(Pマーク)付与契約」を締結し、登録料を振り込んだ後、プライバシーマーク(Pマーク)を取得できます。 「プライバシーマーク(Pマーク)使用規約(※)」に基づき、店頭、宣伝用の広告資料、名刺、Webサイトにプライバシーマーク(Pマーク)を掲載できるようになります。
※出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「運営要領|プライバシーマーク使用規約」
Akerun入退室管理システムはプライバシーマーク(Pマーク)取得に役立てることができます!
プライバシーマーク(Pマーク)の取得には、「適切な入退室管理」「過去数ヶ月分の入退室履歴」が不可欠です。Akerunで入退室管理を行い、各エリアや部屋への入退室ログ/記録をクラウド上に残すことで、プライバシーマーク(Pマーク)取得に役立てることができます。
Web管理ツールやスマホ専用アプリを使用することで、複数の拠点を一括で入退室管理でき、来訪者にはワンタイムパスワードで解錠権限を付与することが可能です。そのため、来訪者や他拠点の入退室管理を効率的に行えます。また、これらの記録を保存することで、万が一内部からの情報漏えいが発生した際も、該当の場所にいた人物を迅速に特定することが可能です。
その他にも、Akerunが貴社にお役立ちできる理由について改めて詳しく解説していきます。
- オフィスや店舗/施設のセキュリティを強化できる
- クラウド環境は金融機関並みのセキュリティを実現できる
- 勤怠管理システムとの連携で業務を効率化できる
オフィスや店舗/施設のセキュリティを強化できる
Akerunは、入退室管理だけでなくオフィスや店舗/施設のセキュリティ強化にもおすすめです。 Web管理ツールやスマホ専用アプリから従業員などのスマホやICカードなどに日時や場所などを指定した解錠権限を付与して入室制御できるため、解錠権限を持っている人のみ入室が可能になり、セキュリティを強化できます。
クラウド環境は金融機関並みのセキュリティを実現できる
Akerunの入退室のデータを保管するクラウド環境は、複数の第三者機関のセキュリティチェックをクリアした、金融機関並みのセキュリティを実現しています。 また、新しい機能の追加やメンテナンスなどはインターネット経由で自動でアップデートされるので、専門知識がない方でも強固なセキュリティを維持しながら手軽に運用できます。
勤怠管理システムとの連携で業務を効率化できる
Akerunは、APIを使って外部システムと連携して様々な業務を効率化できます。 例えば、勤怠管理システムと連携させれば、入退室記録(その日の最初に入室した記録と最後に退室した記録)がそのまま勤怠打刻になるため、正確な勤怠管理を効率的に行えるのはもちろん、労務担当者の業務負担の軽減や人的コストの削減にも繋がります。
※詳しくはこちら:【労務管理者必見!】Akerunで勤怠管理をラクにできた事例のご紹介
まとめ
プライバシーマーク(Pマーク)の概要やメリットについて改めて解説いたしました。
既にご存知かもしれませんが、プライバシーマーク(Pマーク)の取得は、貴社の情報セキュリティ対策を強化し、顧客や取引先に対しても個人情報保護の取り組みをより一層アピールするための重要な手段となります。
プライバシーマーク(Pマーク)を取得するためのご相談や不明点等ございましたら、お気軽に下記フォームよりお問い合わせお待ちしております。